『レキシントンの幽霊』 村上春樹 [純文学]
★★★☆☆
ジャンル:純文学
及第点な作品。『レキシントンの幽霊』『緑色の獣』『沈黙』『氷男』『トニー滝谷』『七番目の男』『めくらやなぎと、眠る女』の七編を収録。
この中では『沈黙』が自分の好みの作品でした。
短編集だから、暇つぶしにしかならないけれど、現代純文作家(昭和四十年代以降デビュー)では間違いなく安心して読める作家no.1でしょうね。
若い頃に受けた衝撃と三十半ばにして初めて得られる共感。そう、三十半ばになって『ダンス・ダンス・ダンス』を手に取ったとき(主人公と同年代)、ガツンと頭をぶん殴られた気がしました。小説読んで、初めて感動に震えました。思わず「うおっ~!」と叫びたくなりましたよ。
村上春樹の醍醐味はここにあったんだ……とね。完全に目が覚めたって感じです。
(昔、教授から「僕は学生の頃、『暗夜行路』を読んだ後に感動で身体が震えた。君はどうだい?」と問われたとき、その『暗夜行路』について演壇に上がって発表していた自分は、「そんなこと全然ねぇ」と言って不評を買いましたが……)
最近はトーンダウンしているような気もしないではないが、それを超えるものを著者には期待したい。以上。
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