『蟲』 坂東眞砂子 [ホラー]
★★☆☆☆
ジャンル:ホラー
悪くはないといった作品。第1回日本ホラー小説大賞佳作。可もなく不可もなく、怖くもない。ただ、取り上げたテーマは自分の好みです。
著者の処女作ということもあってか、なんとなく題材をうまく消化しきれていない感は否めない。欲張って、少し失敗しているように思われる。以上。
『犬狼都市』 澁澤龍彦 [ホラー]
★★☆☆☆
ジャンル:ホラー
悪くはないといった作品。3作品からなる短編集。幻想小説というのか、ホラー味のある純文なのか……。ラヴ・クラフトなんかと同系統なのかなと直感的には思った。
衒学・博学という点では著名な人だけれど、小説家としての腕前はどうなのかなと首を傾げる。でも、これは短編集だから本当の実力のほどはわかりません。
ただし、間違いなくメジャーにはならないんだろう。そういう点では評価できるのだと思う。以上。
『六番目の小夜子』 恩田陸 [ホラー]
★★★☆☆
ジャンル:ファンタジーホラー
及第点な作品。意外と良い作品だったと思う。やはり読まず嫌いをしていてはダメですな。第3回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
なんだか高校時代を懐かしく思い出しました。この歳になって、舞台が高校の作品を読んで苦しくなかったということは、かなり上手く書いているのだと思う。
読者への伝達手段としての表現方法で、二ヶ所ほど「おお!」と思ったところがあった。最近、こんなことは滅多にないので新鮮だった。意図的だったのか、それとも無意識だったのか。
ひとつだけ難癖つけさせていただく。本書の最後の一節はいらないだろう。そこまで読者に優しくしなくていいと思う。ホラーなのに、作者から解答を与えちゃっているんだもの。以上。
『東亰異聞』 小野不由美 [ホラー]
★★☆☆☆
ジャンル:ミステリホラー
悪くはないといった作品。何の先入観もなければ、どんでん返しがくるまでは普通のミステリかと思ってしまうだろう。
第5回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作。
これはあくまでも主観だけど、小説家としては旦那(綾辻行人)より上です。
この作品、たしかに安定感はあるんだけれど、最後がよろしくない。もっと上手な終わり方があったと思われる。続きを書くつもりだったのか?
もし、続きがあったとしても読みはしないと思うけど。以上。